11月下旬、澄み渡る青空の下で明石の海へと足を運びました。
港に着くと、風はなく、海面は鏡のように穏やかで、太陽の光が水面に反射してキラキラと輝いていました。
本来は東防波堤灯台を目指していましたが、休日のため釣り人でいっぱい。
急遽「明石新波止」に釣り座を構えることになりました。
潮の流れが複雑に交わる南西角に立つと、足元から伝わる海の鼓動に胸が高鳴ります。
人生2度目のフカセ釣り、名人に教わりながら挑む一日は、まさに絶好の釣り日和の始まりでした。
快晴の11月、明石新波止へ
11月下旬、澄み渡る青空の下で私は釣り道具を抱え、明石港へと向かいました。
空気は少し冷たく、冬の入り口を感じさせますが、風はなく穏やかな海面が広がっていました。
まさに「絶好の釣り日和」と呼ぶにふさわしい一日でした。
本来の目的地は「明石港東外港東防波堤灯台」でした。
しかし休日ということもあり、すでに多くの釣り人が竿を並べていて、入るスペースはまったくありません。
そこで急遽、釣り場を変更し「明石新波止」へと足を運ぶことにしました。
新波止は地元でも人気の釣り場で、潮の流れが複雑ながら魚影が濃く、挑戦するには最適の場所です。
私達は南西角に釣り座を構えました。
ここは潮がぶつかり合うため魚が集まりやすいとされるポイントです。
足場は安定していますが、海面までの高さがあるためライフジャケットを着用し、安全に配慮しながら準備を進めました。
同行してくれたのはフカセ釣りの名人で、人生2度目の挑戦となる私にとって心強い存在でした。
撒き餌はオキアミ、パン粉、米ぬか、麦、そして海水を混ぜ合わせて作ります。
手で混ぜると独特の海の香りが立ち上り、これから始まる釣りへの期待感を高めてくれます。
専用ロッドは持っていないため、今回はエギングロッド「シマノ・セフィア」を代用しました。
少し不安もありましたが、名人の「工夫すれば十分楽しめる」という言葉に背中を押されました。
撒き餌を海へ打ち込むと、銀色の魚影が水中を駆け巡り、太陽の光を反射して輝きます。
魚の活性は高く、胸竿を握る手に自然と力が入ます。
フカセ釣りとは？初心者でもわかる基本解説
フカセ釣りとは、撒き餌を海に投入し、その中に仕掛けを同調させて魚を狙う釣り方です。
魚が自然に餌へ寄ってくる流れを利用するため、非常に繊細で奥深い釣りといえます。
初心者の方には少し難しそうに感じられるかもしれませんが、基本を押さえれば十分に楽しむことができます。
最大の特徴は「撒き餌と付け餌を同調させる」ことです。
オキアミやパン粉、米ぬかなどを混ぜた撒き餌を海に投入すると、魚はその匂いや動きに誘われて集まってきます。その中に仕掛けを投入し、付け餌を撒き餌と同じように漂わせることで、魚に違和感なく食わせることができます。
仕掛けはシンプルで、基本的には ウキ、道糸、ハリス、針、そしてからまん棒 という構成です。
からまん棒とは、仕掛けが絡みにくくなるように設計された小さなパーツで、道糸とハリスの接続部分に取り付けます。
これを使うことで仕掛けが安定し、初心者でも扱いやすくなります。
フカセ釣りでは「潮の流れを読む」ことが重要です。
潮がどの方向に流れているかによって撒き餌の広がり方が変わり、魚の集まり方も変化します。
名人から教わったのは「潮に逆らわず、自然に餌を流すこと」。
無理に仕掛けを操作せず、潮に任せることで魚が違和感なく餌を口にするのです。
初心者へのコツとしては、まず「撒き餌を丁寧に打つ」ことです。
一定のリズムで撒き餌を投入することで魚が足止めされ、釣り座周辺に集まってきます。
次に「からまん棒の動きをよく観察する」ことです。
わずかに海中へ引き込まれる動きがアタリのサインであり、「からまん棒が海中に引き込まれる＝魚が餌を食べた」 と理解すれば十分です。
フカセ釣りは繊細な技術が必要ですが、その分、魚が餌を食べる瞬間の感覚は格別です。
竿を通じて伝わる生命の鼓動は、まるで海と一体になったような感覚を与えてくれます。
初心者でも一度体験すれば、その魅力に引き込まれることでしょう。
グレの生態と釣り人を魅了する理由
フカセ釣りの代表的なターゲットといえば「グレ」です。正式には「メジナ」と呼ばれる魚で、関西地方では「グレ」という名前で親しまれています。
磯釣り師にとっては憧れの存在であり、釣り場に立つと誰もが一度は狙いたい魚です。
グレはスズキ目イサキ科に属する魚で、体長は30〜40センチほどに成長します。
大きいものでは50センチを超える個体も存在し、その迫力ある姿は釣り人の心を躍らせます。
体は銀色から青みがかった灰色で、光を浴びると美しく輝きます。
尾びれは力強く、釣り上げる際には激しい抵抗を見せるため、釣り人にとってはスリリングな相手です。
生態としては、グレは群れを作って行動することが多く、磯や防波堤周辺の岩場に生息しています。
雑食性で、海藻や小さな甲殻類、さらにはオキアミなどを好んで食べます。
フカセ釣りでオキアミを餌にするのは、この食性に合わせているためです。
潮の流れに乗って餌を追う習性があるため、潮を読むことが釣果に直結します。
また、グレは非常に警戒心が強い魚です。
仕掛けや餌に少しでも違和感を覚えると口を使わないため、釣り人は仕掛けを自然に流す工夫を求められます。
これがフカセ釣りの難しさであり、同時に面白さでもあります。
名人から教わったのは「撒き餌と付け餌を完全に同調させること」。
この技術が成功すると、グレは違和感なく餌を食べ、からまん棒が海中へ引き込まれる瞬間を迎えるのです。
食味についてもグレは非常に優れています。
刺身にすると身は透明感があり、ほどよい弾力と甘みを楽しめます。
煮つけにすれば脂が溶け出し、旨味が凝縮されます。
釣り人にとっては「釣る楽しみ」と「食べる楽しみ」の両方を満たしてくれる魚なのです。
このように、グレは釣り人を魅了する要素を数多く持っています。
力強い引き、繊細な釣り技術を要求する難しさ、そして食卓を彩る美味しさ。
フカセ釣りを始めるなら、ぜひ一度は狙ってみたい魚だといえるでしょう。
明石新波止の魅力と攻略法
明石新波止は、地元の釣り人にとって人気の高いスポットです。
防波堤の形状や潮の流れが複雑であるため、魚影が濃く、さまざまな魚種を狙うことができます。
特にフカセ釣りではグレやチヌがよく釣れることで知られています。
まず、釣り場の特徴として「潮の流れ」が挙げられます。
明石海峡は日本でも有数の潮流の速い場所であり、新波止もその影響を強く受けます。
潮がぶつかり合う南西角は魚が集まりやすいポイントで、私もここに釣り座を構えました。
潮の変化を読むことが釣果に直結するため、初心者の方もまずは潮の動きを観察することをおすすめします。
アクセスについては、明石駅から徒歩やバスで港へ向かうことができ、近隣には駐車場もあります。
休日は混雑するため、早めに到着するのが安心です。
足場は安定していて、ほとんどの場所で柵があるため、転落する心配もありません。
海面まで高さがあるためライフジャケットの着用は必須ですが、安全面が整っているため初心者でも安心して釣りを楽しむことができます。
攻略法としては、まず撒き餌を一定のリズムで投入し、魚を足止めすることが重要です。
潮の流れに合わせて仕掛けを自然に漂わせることで、魚が違和感なく餌を口にします。
からまん棒を使うことで仕掛けが安定し、初心者でも扱いやすくなります。
アタリは「からまん棒が海中に引き込まれる瞬間」であり、その動きを見逃さないことが釣果につながります。
また、時間帯によっても釣果は変わります。
朝まずめや夕まずめは魚の活性が高く、特にグレを狙うには絶好のタイミングです。
潮の変化と時間帯を意識することで、より多くの魚と出会える可能性が高まります。
このように、明石新波止は初心者からベテランまで楽しめる釣り場です。
潮の流れを読む力と撒き餌の工夫が求められますが、その分釣れたときの喜びは大きく、釣り人を魅了してやみません。
釣果とグレ料理の楽しみ
釣りを始めて間もなく、一投目から竿先に強い引き込みがありました。
からまん棒が海中へスッと引き込まれ、心臓が高鳴ります。
合わせを入れると、銀色の魚体が水面下で暴れ、ついに姿を現したのは狙い通りのグレでした。
人生2度目のフカセ釣りで、いきなり本命が釣れた瞬間は言葉にできないほどの喜びでした。
その後も潮の流れに苦戦しながらも、コンスタントにグレが竿をしならせてくれました。
魚影は濃く、活性も高く、まるで海全体が祝福してくれているような感覚です。
最終的に釣れたグレは全部で17匹。
サイズも最大26cmといいサイズ。
そのうち良型の9匹を持ち帰ることにしました。
釣果を並べると、銀色に輝く魚体が美しく、まさに釣り人冥利に尽きる光景でした。
持ち帰ったグレは、さまざまな料理で味わいました。
まずは刺身。透明感のある身はほどよい弾力と甘みがあり、口に入れると海の香りが広がります。
煮つけは醤油の香ばしい香りとともに、脂の旨味が溶け出し、白ご飯が止まらなくなる美味しさでした。
さらに海鮮丼や漬け丼にすると、グレの旨味がご飯と絡み合い、贅沢な一品に仕上がります。
どの料理も格別で、釣った魚を自分で調理して味わう喜びは、釣りの楽しみをさらに深めてくれました。
釣り場での興奮、魚との駆け引き、そして食卓での満足感。
これらすべてが一つにつながり、釣行は忘れられない思い出となりました。
明石新波止でのフカセ釣りは、初心者の私にとって挑戦でありながらも、自然の恵みを存分に感じられる最高の体験でした。
コメント