「雨後の渓流は爆釣のチャンス」
釣り人の間では定説のように語られる言葉ですが、現実はそう甘くありません。
2023年5月3日。
ゴールデンウィーク真っただ中の揖保川水系は、数日前の雨により依然として増水傾向にありました。
「増水=魚の活性が上がる」という期待と、「連休中のプレッシャーでスレ切っているのではないか」という不安。
相反する要素が混在する中、フィールドに立ちました。
結論から言えば、状況判断とルアーセレクトの妙が釣果を分ける鍵となりました。
今回は、タフなコンディション下でいかにして合計18匹のアマゴを引き出したのか、その思考プロセスと「里川開拓」の有用性について詳しくレポートします。
なお、前回の釣行レポートは下記のとおり。
増水×低水温×先行者…トリプルパンチの支流をどう攻める?
早朝6時、解禁当初から通い慣れている揖保川の支流へエントリーしました。
期待とは裏腹に、車を降りた瞬間に肌を刺すような冷気。

気温はなんと6℃。5月とは思えない冷え込みです。
さらに川を見下ろすと、水量は平水時より明らかに多く、流れの押しが強い状況。
そして何より、川岸には真新しい足跡が無数に残されていました。
さすがはゴールデンウィーク、すでに多くの釣り人が入った後であることは明白です。
- 増水による強い流れ
- 低水温による活性の低下
- 先行者によるハイプレッシャー
この「三重苦」とも言える状況下で、まずはパイロットルアーとして信頼するミノーをキャストし、釣り上がりを開始しました。
しかし、予想通り反応は皆無。
普段ならチェイスが見られる瀬や、魚がついているはずの落ち込みを通しても、魚の影さえ見えません。
「雨後でリセットされているはず」という淡い期待は、開始早々に打ち砕かれました。
ミノー沈黙の打開策。「スピナー」が状況を一変させた理由
「魚はいるはずだが、追いきれない、もしくはルアーを見切っている」
そう仮説を立て、戦略を大きく変更することにしました。
アピール力と食わせの能力を兼ね備えた「スピナー」へのルアーチェンジです。

この選択が、この日の運命を大きく変えました。
ルアーを変えた直後、それまで沈黙していた流れの中から突如としてチェイスが発生。
明らかに魚の反応が変わったのです。
「なぜ増水時にスピナーが効いたのか?」
この状況でスピナーが「吉」と出た理由は、以下の3点にあると分析しています。
- 波動の強さとアピール力 増水により水流の音が大きくなっている中、ブレードの回転による強い波動が、視界の悪い魚に対して側線へ強烈にアピールしたこと。
- スローな誘い 冷たい水温で動きが鈍い魚に対し、ミノーの速い動きではなく、流れに乗せてゆっくりと見せられるスピナーの滞空時間がマッチしたこと。
- 羽虫(マッチ・ザ・ハッチ)の演出 水面付近で羽虫のハッチが見られたため、キラキラと回転するブレードが虫をイミテートし、捕食スイッチを入れた可能性。
この読みが的中し、待望のヒット。

サイズこそ14cm〜19cmの小型が中心でしたが、同じ区間で8匹のアマゴをキャッチすることに成功しました。


ルアーひとつでここまで世界が変わる、これこそルアーフィッシングの醍醐味です。
メジャーポイントを見切る勇気。「里川」支流への転戦と新規開拓
最初のポイントで8匹という数は出ましたが、サイズには恵まれず、プレッシャーの高さも肌で感じていました。
そこで、時刻はまだ9時ということもあり、思い切って場所移動(転戦)を決断。
目指したのは、以前から名前だけは聞いていた「初めて訪れる支流」です。
選んだのは、川沿いに民家が点在する、いわゆる「里川」の雰囲気が漂う小規模な支流。
深い山岳渓流とは異なり、人の生活圏に近いこの手の川は、本格的な渓流師からは敬遠されがちです。
しかし、それこそが狙い目。
- 入退渓が容易で安全
- 竿抜けポイント(誰も攻めていない場所)が残っている可能性
- 生活排水等の影響で栄養価が高く、魚が育ちやすい
水深が浅く、一見すると魚が居なそうに見える場所でしたが、偏光グラス越しに覗き込むと、走る魚影を確認。「ここなら行ける」と確信し、エントリーしました。

魚影濃厚、そして肥満体型。「エサ」が豊富な川の証明
新規開拓の支流でも、ヒットルアーであるスピナーを中心に攻めていきます。
読み通り、ここでも魚からの反応は上々でした。
特筆すべきは、その魚体のコンディションです。
チェイスしてくる数も多いですが、釣り上げたアマゴはいずれも腹がパンパンに膨れた、素晴らしいプロポーションをしていました。


午前中の支流と距離的にはさほど離れていないにも関わらず、ここのアマゴは明らかに「良いモノ」を食べています。
おそらく、川虫の水生昆虫だけでなく、里川特有の陸生昆虫なども豊富に流れてくるのでしょう。
「エサが豊富=川虫採集もしやすい」という図式が成り立つため、次はエサ釣りでアプローチしてみるのも面白いかもしれません。
サイズは小型が中心でしたが、最後に小場所から引き出した一尾は、重量感のある納得のサイズ。
最終的にこの支流だけで10匹を追加し、納竿としました。


釣行まとめ:タフコンディションを楽しむための「引き出し」を持とう
今回の釣行結果は、2つの支流を合わせて合計18匹(14cm〜20cm)。
増水とGWのハイプレッシャーという悪条件を考えれば、十分に楽しめた一日と言えます。
今回の学びと次回の戦略としては下記のとおり。
- ルアーローテーションの重要性 「増水=ミノーでリアクション」という固定観念を捨て、状況に応じてスピナーを選択したことが釣果に繋がりました。引き出しの多さが釣果を支えます。
- 新規開拓の価値 メジャーポイントが叩かれている時ほど、見過ごされがちな「里川」や小規模支流がパラダイスになります。Googleマップと睨めっこをして、自分だけのポイントを探す価値は大いにあります。
- 安全第一の意識 増水時の渓流は危険が伴います。無理な遡行はせず、入退渓が容易なポイントを選んだことも、精神的に余裕を持って釣りができた要因です。
サイズこそ「尺越え」には届きませんでしたが、自分の仮説を検証し、答え合わせができた充実感はサイズ以上のものがあります。
次回こそは、本流の太い流れの中に潜む「幅広の尺アマゴ」を求めて。 揖保川のポテンシャルを信じ、また川に立ちたいと思います。
【Caution】 雨後の増水した河川は、普段よりも流れが速く、足元も不安定になりがちです。ライフジャケットの着用はもちろん、少しでも危険を感じたら入渓を控える勇気を持って楽しみましょう。
【Tackle Data】
- Rod: 渓流用トラウトロッド 5ft
- Reel: スピニングリール 2000番
- Line: PE 0.4号 + リーダー 4lb
- Lure: シンキングミノー 50mm、インラインスピナー 3.5g




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