【揖保川源流釣行】崖を越えた先に待つ桃源郷!イワナとアマゴの逆転現象を追う

渓流釣り

暦は8月下旬。

まだまだ残暑が厳しいですが、渓流アングラーにとってはソワソワする季節ではないでしょうか。
そう、9月末の禁漁が迫っているからです(揖保川水系のアマゴ・イワナは8月31日まで)。

「今シーズン、やり残したことはないか?」

そう自問自答した結果、8月20日、私は揖保川の最上流(源流域)へと車を走らせていました。

今回のターゲットは、地図上の道を越え、自分の足でしか辿り着けない「未開の地」。
そこには、疲労も暑さも吹き飛ぶような「渓流魚の楽園」と、常識を覆す「生態系の不思議」が待っていました。

今回は、そんな冒険心あふれる源流釣行の模様と、過酷なフィールドを攻略するためのヒントをお届けします。

前回釣行した際の記事はこちら。

目指すは源流!地図から道が消える場所へ

午前4時。

夜明け前の静寂の中、揖保川沿いを北上します。

今回目指すのは、揖保川の渓流釣りに精通した人たちの間でも「ハードルが高い」とされる最上流エリアです。

なぜハードルが高いのか。その理由は3つあります。

最上流エリアの特徴 
  1. アプローチの厳しさ: 車止めからポイントまで、登山並みの徒歩移動が必要。
  2. 危険生物の存在: ツキノワグマの目撃情報が多く、熊鈴やスプレーなどの対策が必須。
  3. 脱渓の難しさ: 一度入渓すると、崖や急斜面に阻まれ、簡単には道路に戻れない。

「そこまでして行く価値があるのか?」と思われるかもしれません。

しかし、人が入らない場所には、スレていない美しい魚が残っている。
そのロマンこそが、源流釣りの醍醐味なのです。

源流域は木々が覆いかぶさり、川幅も狭いため、長い竿は不利になります。
今回は機動力を重視し、以下のルアー用タックルを選びました。

源流攻略のためのタックル
  • ロッド: 4フィート台のショートロッド(取り回し最優先)
  • ルアー: シンキングミノー(DUO スピアヘッド リュウキ等)、スピナー
  • 装備: ウェーダーではなく、動きやすいゲーター(ウェットスタイル)

特に源流では、高低差のある岩を登ったり降りたりするため、足元のグリップ力と動きやすさが安全に直結します。
準備万端、覚悟を決めて入渓地点を目指します。

実釣開始!高低差のある渓でイワナがお出迎え

車を止め、草木をかき分けながら川沿いを歩くこと約30分。
ようやく竿を出せそうなポイントへ到着しました。

目の前に広がるのは、巨岩が転がり、小さな滝が連続する典型的な源流の渓相

落ち込みの白泡、深みのあるエメラルドグリーンの水。
いかにもイワナが潜んでいそうな雰囲気です。

「まずは挨拶代わりに」と、実績の高いミノー(リュウキ)をキャスト。
着水と同時に、岩陰から黒い影が猛スピードで飛び出してきました!

「ヒット!」

強烈な引きを楽しみながらネットインしたのは、16cmほどの可愛らしいイワナ。
サイズこそ小ぶりですが、ヒレがピンと張った美しい魚体です。

その後も18cm前後のイワナがコンスタントにヒット。
ここで気づいたこのエリアの傾向をまとめておきます。

  • ミノーへの反応が抜群:
    スピナーやスプーンも試しましたが、キビキビ動くミノーへの反応が圧倒的でした。
  • リアクションバイト:
    食わせの間を与えるより、トゥイッチで連続的にヒラを打たせ、反射的に口を使わせるパターンが有効。
  • ピンスポット撃ち:
    落ち込みの脇、岩のえぐれなど、数十センチの隙間にキャストを決める精度が求められます。

ただ、贅沢を言えばサイズが伸びない。

「もう少し奥へ行けば、主(ヌシ)に出会えるのではないか?」

そんな期待が、足を前へと進ませます。

進むか退くか…立ちはだかる「天然の要塞」

釣り上がり始めて数時間。
徐々に渓相が険しさを増してきました。

それに合わせて、イワナの良型も増えてきました。

25cmクラスも多く出現します。

そしてこれまでは「小滝」レベルだったものが、徐々に「登攀(とうはん)」が必要なレベルの滝へと変わっていきます。

そして現れたのが、中規模の滝が何連にも連なる、まるで「壁」のようなエリア。

見上げると、水しぶきが舞い、直登するのは非常に危険に見えます。

時刻は午前9時前。
ここで引き返して別の支流へ移動するか、それともリスクを承知でこの壁を越えるか…。

「引き返すのも地獄、進むのも地獄」

そんな状況でしたが、同行していた友人の一言が決断させました。

「せっかくここまで来たんや。行けるところまで行こう!」

釣り人の性(さが)ですね。
私たちはロッドをたたみ、両手を空けて、慎重に岩場をへつりながら滝を高巻きしました。

汗は滝のように流れ、息は上がり、足の筋肉が悲鳴を上げます。
まさに修行。

しかし、この苦行こそが、次のパラダイスへの入場料だったのです。

崖を越えると別世界!そこは「アマゴの楽園」だった

なんとか「要塞」エリアを抜け、平坦な河原に降り立ったとき、風景が一変しました。

険しい岩場はなくなり、穏やかな流れと適度な深み、そして身を隠せる石が点在する、理想的な渓流。

先ほどまでのイワナ渓谷とは全く違う、明るく開けた「アマゴ渓谷」が広がっていたのです。

少し休憩して呼吸を整え、震える手でキャスト。

すると、信じられない光景が目に飛び込んできました。

「ワラワラワラッ!」

ルアーを通した瞬間、岩陰という岩陰から、無数の魚影がチェイスしてきたのです!
しかも、そのスピードと魚体の輝きはイワナのものではありません。

「全部、アマゴや!!」

ヒットした魚を見て確信しました。
朱点が鮮やかな、良型のアマゴです。

確変モード突入!スレ知らずの魚たち

ここからは、まさに「お祭り状態」。
どこに投げても反応があり、一度見切られても、ルアーのカラーを変えたりアクションを変えたりすれば、何度でもアタックしてきます。

  • サイズ: 20cm〜22cmの良型がアベレージ。
  • 活性: 非常に高く、水面を割ってルアーに飛びつくシーンも。
  • 魚種: この区間に入った途端、イワナは姿を消し、釣れるのはアマゴのみ。

尺(30cm)を超えるモンスターこそ出ませんでしたが、美しく太ったアマゴたちが次々とロッドを曲げてくれます。

人が入っていないため警戒心が薄いのでしょう。
これぞ源流釣りの醍醐味、苦労して辿り着いた者だけが味わえる至福の時間です。

なぜ?源流のミステリー「魚種の逆転現象」

ここでふと、不思議なことに気づきました。

一般的に渓流魚の棲み分けは、下流から「ヤマメ・アマゴ」→「イワナ」の順になると言われています。
イワナの方がより冷たく、険しい源流域を好むからです。

しかし今回は、下流側にイワナがいて、険しい滝を越えたさらに上流にアマゴの楽園があるという、教科書とは逆の分布になっていました。

推測ですが、以下のような理由が考えられます。

  1. 放流の歴史: 過去、この上流域にアマゴが放流され、滝が魚止めとなって下流に落ちずに繁殖した?
  2. 水温や環境: この上流域が、実は開けていて日当たりが良く、アマゴに適した水温だった?

自然の世界には、まだまだ私たちの知らない不思議が隠されているようです。
イワナよりも上流に君臨するアマゴたち。その生命力の強さに感動すら覚えました。

釣行のまとめ:源流釣りの魅力と注意点

魚止めの大滝に到達したところで、今回の冒険は終了。

終わってみれば、ルアー釣行としては過去最高レベルの「爆釣」となりました。

10年ほど揖保川に通っていますが、まだまだ知らない「未開のエリア」があることを痛感。

これだから渓流釣りはやめられません。

最後に、今回の釣行を通じて感じた注意点をシェアします。
これから源流を目指す方は、ぜひ参考にしてください。

源流釣行の注意点
  • 帰路の体力を残しておくこと:
    楽しい釣りの後は、現実が待っています。今回は林道がなく、川通しで戻る必要があったため、帰りに1時間半かかりました。行きよりも帰りの方が事故が起きやすいので、体力配分には十分注意しましょう。
  • 単独釣行は避ける:
    電波も届かない場所で怪我をしたら命に関わります。今回は友人と一緒だったからこそ、難所を越える判断も、安全確認もできました。
  • ポイントを大切に:
    こうしたパラダイスは、魚たちが世代を繋いで守ってきた場所です。必要以上のキープは避け、ゴミは必ず持ち帰るなど、フィールド保全を心がけましょう。

さて、揖保川の渓流シーズンも残りわずか。 最高の思い出ができましたが、できれば禁漁前にもう一度、あの美しい魚たちに会いに行きたい…そう思わせる魅力が、源流にはありました。

皆さんも、安全第一で、素晴らしいシーズンの締めくくりを楽しんでください!


※渓流釣り(遊漁)には遊漁券が必要です。
 必ず揖保川漁協の遊漁券を購入し、ルールを守って楽しみましょう。

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