春の訪れとともに海の中も賑やかになってきました。
関西屈指の好漁場、兵庫県明石エリア。
この時期、アングラーの心を熱くさせるターゲットといえば、やはり「春告魚」の異名を持つメバルです。
冬の産卵を終えて体力を回復させようと荒食いを始めるこの季節は、数釣りはもちろん、驚くような大型(デカメバル)に出会える絶好のチャンスでもあります。
今回は2023年3月下旬、明石・東二見人工島へ夜のメバリングに出撃してきました。
結論から言うと、「底が見えるほどのド干潮」という絶望的なコンディションの中、ある一つのパターンを見つけることで25cmクラスの良型を連発させることができました。
- なぜ、潮が引いても釣れたのか?
- どのようなアプローチが有効だったのか?
当日の状況を振り返りながら、明石エリアでのメバル攻略のヒントを詳しく解説します。
「潮が悪いから帰ろうかな」と諦める前に、ぜひ試していただきたいメソッドです。
【ポイント選定】明石メバリングの聖地・東二見人工島テトラ帯
今回エントリーしたのは、明石エリアでもメジャーなポイントである「東二見人工島(南二見)」です。
このエリアは、島の南面から東面にかけて広大なテトラポッド帯が広がっており、メバルやガシラ(カサゴ)といった根魚の魚影が非常に濃いことで知られています。
- 潮通しの良さ: 明石海峡に近い激流の影響を受けつつ、テトラが複雑な潮流を生み出し、プランクトンが溜まりやすい。
- ストラクチャー: メバルが身を隠すテトラの穴が無数にあり、居着きタイプと回遊タイプの両方が狙える。
今回は東向きのテトラ帯にエントリーしました。
このポイントは足場が高い場所もあるため注意が必要ですが、広範囲を探れるため、先行者がいても竿を出せるスペースを見つけやすいのが魅力です。
有名ポイントではありますが、「ここピンポイントでないと釣れない」というよりは、「条件さえ合えばどこでもチャンスがある」のがこの人工島のポテンシャルです。
夜間のテトラ帯は大変滑りやすく危険です。
ライフジャケットの着用と、スパイクシューズ等の滑りにくい靴の装備を徹底しましょう。
単独釣行の際は家族に行き先を告げ、無理な移動は避けてください。
【タックルデータ】再現性を高める「ジグ単」のシンプル構成
私のメバリングスタイルは至ってシンプルです。
高価なプラグや複雑なフロートリグ(飛ばしウキ)も効果的ですが、「軽量ジグヘッド+ワーム」のいわゆる「ジグ単」こそが、最も状況変化に対応しやすく、かつ釣果への近道だと考えています。

- リグ: ジグヘッド単体(ジグ単)
- ジグヘッド: 0.8g ~ 1.5g(メインは1.2g前後)
- ワーム: 1.5インチ ピンテール系ワーム
- リーダー: フロロカーボン 50cm程度
メバルは「目の前に自然に流れてくる餌」を好んで捕食します。
0.8g〜1.5gという軽めのウェイトを選択することで、潮の流れに乗せながらゆっくりとフォール(沈下)させることが可能になります。
また、1.5インチという一口サイズのワームは、春先のマイクロベイト(極小の小魚やプランクトン)を偏食しているメバルに対して抜群の食わせ能力を発揮します。
かつてはシラサエビを使った電気ウキ釣りも嗜んでいましたが、ルアーフィッシングの手軽さと、ゲーム性の高さ(自分で操作して食わせる楽しさ)を知ってからは、完全にこのスタイルに定着しました。
準備も片付けも楽で、仕事帰りの短時間勝負にも最適です。
【状況分析】大潮の干潮…底まで丸見えのシャローエリア
ポイントに到着したのは23時頃。
期待に胸を膨らませて海面を覗き込むと、そこには想定外の光景が広がっていました。
「海面が、遠い…」
ヘッドライトで足元を照らすと、普段は海中にあるはずのテトラの基礎や、海底の岩が完全に見えています。 潮見表を確認しそびれていましたが、この日は大潮。
しかも最干潮のタイミングにバッティングしてしまいました。
一般的に、水深が浅くなると魚の警戒心は高まり、沖の深場へと移動してしまうと考えられがちです。
「底が見えている=魚がいない」と判断し、移動を決断するアングラーも多いでしょう。
実際、水深は数十センチ程度しかない場所もありました。
「タイミングを完全に外したか…」 一瞬そんな思いがよぎりましたが、海面をよく見ると潮はしっかりと動いています。
潮が動いていれば、プランクトンが流され、それを追う魚の活性は悪くないはず。
「浅いからこそ、餌を追い込みやすい場所にデカいのが残っているかもしれない」 そうポジティブに捉え、実釣を開始しました。
【苦戦】反応なしの沈黙時間と情報の重要性
開始から30分。
私のポジティブな予想に反し、海からの反応は皆無でした。
表層、中層、ボトム付近とレンジ(深さ)を刻み、リトリーブスピード(巻く速さ)を変えてみますが、メバルからのシグナルはありません。 「やはり、魚は沖に行ってしまったのか?」
不安になり、近くでエビ撒き釣りをしていた先行者の方に声をかけてみました。
「こんばんは、どうですか?」 「いやぁ、さっぱりやね。潮が引きすぎてアカンわ」
エサ釣りでも反応がないという事実は、かなり絶望的な材料です。
ルアー(偽物の餌)で挑む私にとってはなおさら厳しい状況と言えます。
しかし、ここで諦めて帰るわけにはいきません。
「全部の魚がいなくなったわけではない。必ずどこかに居場所(付き場)があるはずだ」と信じ、戦略を練り直しました。
【攻略の鍵】この日の正解パターン「テトラ際ドリフト」
沖への遠投で反応がない以上、魚は「沖」ではなく「手前」、あるいは「変化のある場所」にタイトについている可能性があります。
それまでは「沖に投げて、手前に引いてくる」というオーソドックスな探り方をしていました。
これを、「テトラ帯と平行に投げて、テトラの際(キワ)ギリギリを通す」というアプローチに変更しました。
水深が浅い分、メバルは身を隠せるテトラのスリット(隙間)や、影の中に潜んでいると仮定したのです。
テトラ沿いにキャストし、ジグヘッドをカーブフォールさせながら、テトラの際を舐めるように引いてきます。 すると変更して数投目。
「ゴゴッ!…ゴゴゴッ!!」
手元に明確な衝撃! 久しぶりのアタリに体が反応してしまい、あえなく早合わせでフッキングミス。しかし、これは大きなヒントです。「魚はここにいる」。
パターンさえ掴めば、こちらのものです。 再度、同じコースをより慎重にトレースします。 コツは、リールを巻くのではなく、潮の流れに乗せて漂わせる(ドリフトさせる)イメージ。
「ググッ!」 今度は重みが乗るまで待ち、スイープに合わせを入れます。 ロッドが美しい弧を描き、ドラグが鳴ります。浅瀬特有の横走りをいなしながら慎重にランディング。
上がってきたのは、体高のある18cmのメバルでした。 「やっと会えた…!」 試行錯誤の末に手にした1匹は、サイズ以上の感動を与えてくれます。

【釣果報告】浅瀬=大型の法則を実証
パターンがハマると、先ほどの沈黙が嘘のように連発劇が始まりました。
- テトラ際ギリギリ
- ボトム(底)付近をフワフワさせる
この2点を意識するだけで、次々と良型がアタックしてきます。
特筆すべきは、そのサイズです。
例年この時期は15cm程度の小型(リリースサイズ)が混じることが多いのですが、この夜は掛かればほぼ20cmオーバー。
- 21cm:トルクフルな引きを見せた良型。
- 22cm:ボトム付近でひったくるようなバイト。
- 25cm:この日の最大サイズ!ドラグを出され、根に潜られそうになりながら獲った納得の1尾。



結果として、最大25cmを含む良型メバルを約15匹キャッチすることができました。
足元の岩陰を探ればカサゴ(ガシラ)も果敢にアタックしてきてくれ、終わってみれば大満足の釣果となりました。
「なぜ浅瀬に良型がいたのか?」
考察になりますが、干潮で水位が下がったことで、捕食対象となる小魚やカニ、エビなどがテトラの周辺に凝縮されていたのではないかと考えられます。
警戒心の強い大型メバルも、食事の効率が良いこの「浅瀬のレストラン」に留まっていたのでしょう。
「水深がないから釣れない」という固定観念を捨てたことが、この日の勝因でした。
【まとめ】春の明石メバリングを楽しむために
今回の釣行で得られた教訓は、「自然条件をネガティブに捉えすぎないこと」です。
大潮の干潮、底見えのシャローエリア。一見するとバッドコンディションですが、アプローチを変えるだけで「パラダイス」に変わる可能性があります。
- 足元を見落とさない: 遠投だけでなく、足元のテトラ際や護岸沿いは一級ポイントです。特に夜間は魚が浮いてきていることが多いです。
- 粘りと試行錯誤: 釣れない時は場所移動も手ですが、レンジやコースを変えるだけで反応が変わることがあります。
- 美味しくいただく: メバルは「白身のトロ」とも呼ばれるほど美味な魚です。煮付け、唐揚げ、ムニエルと、どんな料理にも合います。今回は家族分の4匹を持ち帰り、春の味覚を堪能しました。
春のメバルシーズンはまだまだ続きます。
明石の海は潮の流れが速く、育つ魚は筋肉質で引きも食味も抜群です。
ぜひ皆さんも、安全装備を整えて、春告魚との知恵比べを楽しんでみてください。
「浅くても、そこに魚はいる」 この言葉を胸に、次の釣行へ出かけましょう!



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