梅雨時期や夕立の後など、渓流釣りにおいて「雨」は切っても切れない関係にあります。
「雨後の増水はチャンス」とよく言われますが、実際に行ってみると「濁流で釣りにならない」「危険すぎて川に近づけない」という経験をしたことのある方も多いのではないでしょうか。
2023年7月7日、まさに大雨直後の揖保川(引原川本流)へ挑んできました。
結論から言うと、最初はボウズを覚悟するほどの激流・高難易度でしたが、ポイントの見極めとアプローチを変えたことで、素晴らしい良型アマゴに出会うことができました。
今回は、そんな増水時の揖保川釣行の様子と、私が現場で感じた「増水パターン攻略のヒント」を詳しくシェアします。
ちなみに前回釣行した際の記事はこちら!
【現場レポート】大雨警報級?揖保川水系の現状とエサ確保の壁
朝6時、揖保川沿いを走りながら川の状況を確認しましたが、言葉を失いました。
下流域の時点で、普段とは景色が違うほどの水量。
茶色く濁り、轟音を立てて流れる様は、まさに「激流」です。
「これ、上流に行っても釣りになるのか…?」
不安を抱えながらも、まずは渓流釣りの基本にして極意、現地での「川虫(ヒラタ)」採取からスタートです。
増水時の川虫採取は「安全第一」かつ「足元」が鍵になります。
普段なら川の中程まで立ち込んで採取しますが、今回は陸続きだった場所すら水没している状況。
ここで無理に深場へ入るのは自殺行為です。
増水時は、普段は陸地に近い浅瀬の石裏にも、流されないように避難してきた川虫がついていることが多いです。
今回はヘチ(岸際)の、流れが比較的緩やかな場所にある石を重点的にひっくり返しました。
結果は大正解。
水流が強く、網に入れるのも一苦労で1時間以上かかってしまいましたが、良型のヒラタを大量に確保することに成功しました。
「増水時は魚も虫も岸に寄る」。これは鉄則ですね。
増水時の河川への立ち込みは大変危険です。
ライフジャケットの着用はもちろん、少しでも恐怖を感じたら無理をせず、諦める勇気を持ってください。
引原川本流・上流域へ|激流の中で竿を出せる場所はあるか
本流中流域は釣り座すら確保できない状態だったため、少しでも水量が落ち着いていることを期待して、引原川の上流域へ大きく移動しました。
しかし、期待は裏切られました。
上流へ行っても水量は収まらず、いつも入渓する実績ポイントは白波が立ち、まるでラフティングコースのよう。
「川を切る(対岸へ渡る)」なんて論外の水高です。
支流へ逃げることも頭をよぎりましたが、この時期の支流は頭上の木々(ボサ)が生い茂り、提灯釣りでも厳しい状況が予想されます。
そこで今回は覚悟を決め、「普段なら水が少なすぎてスルーするような、開けた浅瀬のポイント」にあえて入ることにしました。
これだけ増水していれば、普段のチャラ瀬(浅瀬)が、一級の深場に変わっている可能性があるからです。

第一のポイント:チビアマゴの猛攻と「流れ」の読み違え
仕掛けをセットしいざ実釣開始。
本流竿を振りますが、とにかく流れが強い。
白波が立っている本筋に入れてしまうと、仕掛けが一瞬で下流へ吹き飛ばされます。
ここで意識したのは「流れのヨレ」です。
激流の脇にある、少し流れが巻いているポイント。
そこに仕掛けを馴染ませると、すぐに反応がありました。
「コンッ!」
心地よいアタリですが、上がってきたのは15cm〜16cmほどの可愛いチビアマゴ。
その後も同じようなポイントで連発しますが、サイズが伸びません。

ここで一旦手を止めて考えました。 なぜ釣れるのはチビばかりなのか?
ヨレには遊泳力の弱い小型が溜まっている
激流を避けるためにヨレに入っているのは確かですが、そこはあくまで「避難所」。エサが流れてくる一等地ではないのかもしれません。
良型はもっと強い流れの中にいる
体力のある良型アマゴは、ヨレそのものではなく、「強い流れの下(底波)」や「流心とヨレの境目(シーム)」に定位し、流れてくるエサを待ち構えているのではないか。
そこで、ガン玉(オモリ)を通常より重くし、流れの速いポイントへ仕掛けをねじ込んでみました。
しかし、反応は皆無。
流れが速すぎて魚が追いつけないのか、あるいは私の流し方が不自然なのか…。
試行錯誤を繰り返しましたが、結局このポイントではチビアマゴ20匹(全てリリース)で終了。
数釣りとしては楽しめましたが、「本流の良型」には程遠い結果です。
ポイント移動で事態急転!良型アマゴが潜む「理想の水深」
「今日はこのサイズで終わりか…?」 そんな弱気が顔を出しましたが、諦めきれずさらに場所を移動。
次に選んだのは、川幅があり、増水してもある程度「逃げ場」がありそうな本流の区間です。
車を降りて川を見ると、強い笹濁り(ささにごり)が入っていますが、水色は悪くありません。
むしろ、魚の警戒心を解く絶妙な濁り具合。
そして何より、「流れの強弱」がはっきり見て取れました。
全体が激流ではなく、太い流れの脇に、ゆったりと流れる深みが形成されています。
「ここなら居るかもしれない」
先ほどの反省を活かし、オモリを調整。
狙いは「激流の脇」の底波です。
表層の激流に仕掛けが引っ張られないよう、しっかりと底波(川底の流れ)を捉えるイメージで流します。
仕掛けが馴染み、目印がふっと止まった瞬間。
「ググッ!」
先ほどまでとは明らかに違う重量感。 竿が綺麗な弧を描き、水中で銀色の魚体がギラリと光りました。 慎重に寄せ、タモに収まったのは…

20cmオーバー、体高のある見事な本流アマゴ! 朱点が鮮やかで、ヒレもピンと張った美しい個体です。
「これだよ、これが欲しかったんだ!」
思わず独り言が出るほどの嬉しさ。
やはり、良型は「激流を避けつつも、エサが大量に流れてくる太い流れの底」に付いていました。
その後も、同じようなシチュエーションのポイントをピンポイントで攻めると、立て続けにヒット。
一度、写真を撮ろうとして脱走されるハプニングもありましたが(笑)、短時間で良型のアマゴを複数キャッチすることに成功しました。


水温が低かったせいか、食いが浅くバラシも多かったですが、「増水時の正解」を見つけられた達成感は格別です。
支流の様子と、渓流のアイドル「アカハライモリ」
本流での釣果に満足したところで、風が強くなってきたため、風裏となる支流へ少しだけ寄り道しました。

本流の笹濁りとは対照的に、支流の水は驚くほどクリア。
しかし、水量はやはり「とんでもない」レベルです。

ルアーロッドに持ち替え、ミノーでアップクロス(上流側へのキャスト)を試みます。
チェイス(魚がルアーを追う姿)は確認できましたが、水流が速すぎてルアーをうまく見せることができず、バイトには至りませんでした。
30分ほどで納竿としましたが、帰り際、苔むした岩の上に癒やしの光景を発見。
たくさんのアカハライモリたちが、増水を避けて岩場に避難していました。
オレンジ色のお腹が可愛らしく、殺伐とした激流の釣りの後に、ふっと心が和む瞬間でした。
こういった自然観察も、渓流釣りの醍醐味の一つですね。

【まとめ】増水・激流時の揖保川攻略のカギ
今回の大増水釣行、終わってみれば「経験値が試される」非常に勉強になる一日でした。
今回の釣行で得られた教訓をまとめます。
- 場所選びは「普段スルーする浅瀬」を見る
平水の好ポイントは激流で釣りになりません。
普段は浅すぎる場所が、増水時には一級ポイントに化けます。 - オモリ使いが勝負を分ける
表面の速い流れに負けないよう、オモリを重くして「底波」に入れることが良型への近道です。 - 「ヨレ」だけでなく「流れの芯」の脇を攻める
完全な止水域やヨレには小型が多く、良型は少し強い流れの中に定位しています
自然相手の遊びゆえ、毎回同じパターンが通用するとは限りませんが、引き出しの一つとして参考になれば幸いです。
揖保川の渓流シーズンも残り2ヶ月弱(9月末まで)。
引原川本流は相変わらず魚影が濃く、雨が落ち着けば最高のコンディションが期待できそうです。
次回は、今回攻略しきれなかった源流域へ「ルアー縛り」で挑みたいと思います。
皆様も、安全には十分配慮して、素晴らしい渓流ライフを楽しんでください!
- 竿: 本流竿 7m(ズーム式)
- 水中糸: ナイロン 0.3号
- オモリ: ガン玉 2B〜4B(状況により使い分け)
- ハリ: アマゴ半スレ 5号〜6号
- エサ: 現地調達のヒラタ(カゲロウの幼虫)




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