待ちに待った3月1日。
渓流釣り師にとっての元旦、そう「渓流解禁日」が今年もやってきました。
兵庫県播磨地域を流れる名川・揖保川。
美しい魚体のアマゴや野性味あふれるイワナを育むこの川に、今年も多くの太公望たちが集結しました。
「解禁日なら放流魚も含めて簡単に釣れるだろう」 そんな甘い期待を抱いて挑んだ2024年の解禁初日でしたが、現実は想像以上に厳しいものでした。
増水、そして極寒の低水温。
しかし、そんなタフな状況だからこそ、工夫して出会えた一匹の価値は格別です。
今回は、揖保川支流・福知川での実釣記録をもとに「解禁初期の低水温・増水パターンをどう攻略するか」に焦点を当ててレポートします。
これから釣行を計画されている方、来年の解禁に備えたい方の参考になれば幸いです。
解禁の朝、選んだのは激戦区「福知渓谷」
午前4時。
まだ星が瞬く暗闇の中、高鳴る鼓動を抑えきれず車を走らせます。
揖保川水系には、赤西渓谷、音水渓谷、引原川など数多くの魅力的な支流が存在しますが、今年の解禁初陣に選んだのは「福知川(福知渓谷)」です。

なぜ福知川を選んだのか。
解禁日のポイント選びは、その日の釣果の8割を決めると言っても過言ではありません。
- 魚影の濃さ: 揖保川漁協による成魚放流もしっかり行われており、魚のストック量は随一。
- アクセスの良さ: 入渓しやすいポイントが多く、万が一先行者がいても少し移動すれば竿を出せる場所がある。
- 直感(重要): 最終的にはスマホのルーレットアプリに背中を押されましたが(笑)、やはり実績の高い場所で勝負したいという思いがありました。
山崎IC付近のコンビニに立ち寄ると、防寒着に身を包んだ釣り人たちの姿が。
言葉は交わさずとも「いよいよですね」「お互い良い釣りを」という目配せで挨拶を交わす。
この独特の緊張感と連帯感も、解禁日ならではの楽しみです。
午前6時半、空が白み始めた頃、キャンプ場裏手のポイントから入渓。
やはり人気の河川だけあり、視界の範囲内にもすでに数台の車が止まっています。
先行者の存在を確認しつつ、マナーを守って距離を取り、いよいよ2024年の渓流シーズンが幕を開けました。
想定外の試練!水温4℃と増水の壁
「まずは景気よく一匹!」と意気込んで、今年最初の仕掛けを流れに乗せます。
使用する餌は、解禁初期の特効薬である「イクラ」。
視覚的なアピール力が強く、放流されたばかりの魚には絶大な効果を発揮するはずです。
しかし、期待とは裏腹に、竿先から伝わる生体反応は皆無。
「絶対に居るはず」と確信していた一級ポイント、キャンプ場裏の淵などを丁寧に流しても、魚からのシグナルは返ってきません。
あまりの反応のなさに違和感を覚え、水温計を川に浸してみると、驚愕の数値が表示されました。
昨年の解禁時は8℃あった水温が、今年はなんと4℃。
上流部に至っては3℃でした。

渓流魚の適水温には程遠く、魚が底に張り付いて口を使わない状況です。
前日に降った冷たい雨、あるいは上流に残る雪代の影響でしょう。
普段なら美しい落ち込みを作る小滝も、増水により真っ白な激流と化しています。
白泡が立つほどの強い流れは、軽いイクラ餌をあっという間に下流へ押し流してしまいます。

餌がすぐにボロボロになり、魚の目の前に届けることすら困難な状況でした。

「これはボウズ(釣果ゼロ)もあり得るかもしれない…」
解禁日の高揚感は一気に冷め、焦りが頭をよぎります。
しかし、自然相手の遊びに「絶対」はありません。
この状況下でどう食わせるか、釣り人の腕が試される局面です。
執念の粘りで引き出した!シーズン初のアマゴ
入渓から1時間半。
雨足が強まり、冷たい風が吹き付ける中、心は折れかけていました。
しかし、ここで諦めては渓流釣り師の名が廃ります。
「とにかく一匹、顔を見るまでは帰れない」という執念だけで釣り上がっていきます。
増水時、魚は強い流れを避けて、少しでも体力を消耗しない場所に身を寄せます。
狙いを定めたのは、堰堤(えんてい)下の巻き返しや、流れが緩む深場。
仕掛けが浮き上がらないよう、オモリを調整し、普段よりもさらに慎重に、底スレスレを這わせるイメージで流します。
すると、竿先にこれまでとは違う、わずかな違和感が。
「コツッ…」
反射的に合わせを入れると、空中で魚が翻り、ポロリとフックアウト。
痛恨のバラシ!しかし、魚は確実に居て、口を使う気があることが分かりました。
これが今日最後のチャンスかもしれない。
震える手で餌を付け替え、同じレーンへ再投入します。
流れに乗せて漂わせ、止めた瞬間。
「ググッ!」
今度こそ確かな重みが乗りました。
慎重に、慎重にいなしてタモに入ったのは、15cmほどの美しいアマゴ。

「やっと会えた…!」 サイズは小ぶりですが、このタフなコンディションの中で引き出した一匹の価値は、尺上の大物にも匹敵します。
朱点が鮮やかなその姿に、思わず安堵のため息が漏れました。
一度パターンを掴めば、不思議と続くものです。
「底波(そこなみ)に入れて止める」という攻め方がハマったのか、同じポイントで立て続けにヒット。

やはり魚は一箇所に固まっていたようです。
結果、このポイントで3匹のアマゴをキャッチ。
厳しい状況でも、魚の居場所とレンジ(タナ)さえ合わせれば、答えは返ってくることを再確認しました。
支流を変えての探り釣り(ラン&ガン)
10時前、反応が途絶えたため、思い切って場所移動を決断します。
同じ場所に留まって活性が上がるのを待つか、新しい魚を求めて移動するか。
解禁日はこの判断が釣果を分けます。
福知川を下る途中、3名の釣り人に状況を伺いましたが、口を揃えて「全然ダメ」「アタリすらない」とのこと。
やはり川全体として活性が低いようです。
別の支流へ車を走らせていると、偶然にも知人の釣り師と遭遇。
情報交換を行いましたが、彼もまた惨敗とのこと。
しかし、ここでふと気になってこの支流の水温を測ってみると、「6℃」を表示しました。

「さっきの福知川より2℃も高い」 たかが2℃、されど2℃。
変温動物である魚にとって、この水温差は活性に大きな影響を与えます。
「これならいけるかもしれない」

期待を込めて竿を出してみると、増水で攻められるポイントは限られていましたが、読み通り反応があり、1匹を追加。
やはり、「解禁初期は少しでも水温の高い支流や区間を選ぶ」ことが、釣果を伸ばすための鉄則であると痛感しました。
釣行まとめ:2024年解禁日に得た教訓

昼前までの釣行で、最終的な釣果は15cm前後のアマゴが4匹。
「爆釣」とは程遠い結果でしたが、自然の厳しさと、それを攻略する楽しさを凝縮したような半日でした。
- 水温の重要性: 4℃以下では極端に食いが渋る。水温計は必携アイテム。
- 増水対策: 流れの強い瀬よりも、堰堤や淵の底など、魚が避難できる場所をピンポイントで狙う。
- 餌の選択: 増水時はイクラが弱いが、やはり食わせる力は強い。こまめな交換が必要。
今回の釣行では「数」や「型」には恵まれませんでしたが、厳しい条件下でどう魚にアプローチするかという点では、非常に多くの学びがありました。
ゴールデンウィーク頃には水温も安定し、各所で活発なライズが見られるようになるはずです。
その時こそ、サイズアップを狙ってリベンジしたいと思います。
おまけ:冷えた体には温泉とグルメ
釣りの後は、一宮温泉「まほろばの湯」にあるお食事処「ささゆり」でランチタイム。

注文した「本日の中華定食」は、想像以上に本格的な味付けで、特にチャーハンは絶品でした。

冷え切った体に温かいご飯が染み渡ります。
今回は時間の都合で入浴は断念しましたが、釣りの後の温泉と食事は、揖保川釣行の欠かせないセットプランです。
釣果も大切ですが、地元の自然を感じ、美味しいものを食べて帰る。
これこそが「釣り旅」の醍醐味ですね。
皆さんもぜひ、美しい揖保川の渓流へ足を運んでみてください。
きっと、記憶に残る一匹との出会いが待っているはずです。




コメント
解禁おめでとうございます。
いや〜厳しい中釣れたのは羨ましいです。
去年よりかなり厳しいような。
居そうなポイントは皆無でしたわ。
またゆっくりいってみます。
みんなで今年もワイワイ行きましょ〜