いよいよ待ちに待った渓流釣りのシーズンがやってきましたね。
厳しい冬の寒さを乗り越え、川のせせらぎに春の訪れを感じるこの季節、釣り人にとって「解禁日」という言葉ほど胸を躍らせるものはありません。
今回私は、2026年3月1日の解禁日に合わせて、鳥取県を代表する美しい清流・千代川(せんだいがわ)へ釣行してきました。
千代川での解禁日釣行は今年で2年目となりますが、あの独特の緊張感と期待感は何度味わっても良いものです。
本記事では、今年の放流状況を踏まえたポイント選びから、放流ヤマメならではの釣り方のコツ、そして実際の釣果や現場のリアルな雰囲気までをたっぷりとご紹介します。
これから千代川へ行ってみようかなと考えている方の参考になれば嬉しいです。
それでは、さっそく今年の初釣りの様子をお届けしましょう!
いざ、2026年の千代川解禁日へ!今年の狙いは「智頭地区」
鳥取県を流れる一級河川である千代川。
毎年3月1日が渓流釣りの解禁日となっており、県内外から多くの太公望が訪れます。
千代川では毎年、解禁日とゴールデンウィーク前のタイミングでヤマメの成魚放流を実施しています。
そのため、解禁日当日は警戒心の強い天然魚ではなく、活性の高い「成魚放流」をピンポイントで狙うのが確実な釣果を上げるためのセオリーとなっています。
解禁日に向けて、まずは事前のリサーチが欠かせません。
事前に漁協のホームページを確認すると、今年の解禁当初の放流は「3月1日から4日の4日間にかけて、各地区に分散して放流する予定」とのことでした。
例年であれば解禁日である3月1日に全域でドカンと放流される量が一番多いのですが、今年の解禁日当日は「智頭(ちづ)地区」のみの放流となっていました。
「それならば!」と、今年の解禁日は迷わず智頭地区を目指すことに決定しました。
自宅を出発したのは、まだ周囲が真っ暗な朝の5時頃。
予定では7時過ぎには千代川へ到着する計算です。
漁協による放流作業はだいたい9時頃からスタートするのですが、広い智頭地区の中で、具体的にどのポイントに放流されるかは当日行ってみないとわかりません。
智頭地区というエリアの中だけでも、放流場所は土師川(はじがわ)、北股川、本谷川、新見川と複数の支流に別れており、どの川のどのポイントに陣取るかが釣果を分ける最大の鍵になります。
そのため、明るくなってからの下見も兼ねて、早めに現地入りする算段を立てました。
道中、3月上旬の山間部ということで積雪や路面凍結を心配していましたが、今年は暖冬の影響もあってか道路に雪はほぼなく、ノーマルタイヤでの走行でも全く問題ありませんでした。
遠方から訪れる釣り人にとって、アクセスしやすい路面状況だったのは幸先が良いスタートです。
放流ポイントに到着!冷え込む川辺でその時を待つ
現地に到着後、「今年はここだ!」と目星をつけ、川沿いの道を車でゆっくりと遡上していくと、まだ朝の早い時間にもかかわらず、すでに何人かの釣り人が集まって熱気を帯びているポイントを発見しました。
挨拶をして地元の釣り人らしき方に話を聞いてみると、「例年、解禁日はこの辺りで放流されているよ」との貴重な情報をゲット!やはり足で稼いだ情報と、現場の空気感は裏切りません。
ここに狙いを定め、いそいそと準備を始めます。
ウェーダーを着込み、川へ降り立ちます。
放流時間まではまだ時間があるので、まずは川の状況を確かめながら天然ヤマメを狙いつつ、その時を待つことにしました。

水温計を取り出して川の水温を測ってみると、表示は「4度」。
ちなみに手元の温度計で気温は「7度」でした。
数字だけ見るとそこまで極寒ではないように思えますが、遮るもののない川辺で冷たい風に吹かれると、体の芯から冷えてきます。

防寒着のありがたみをひしひしと感じながら、愛用しているシマノの渓流竿「天平(てんぴょう)」を静かに構えます。

手元に伝わる川の冷たさとは裏腹に、間もなく始まるであろう「お祭り」に向けた胸の高鳴りは抑えきれません。
ついに放流!放流ヤマメならではの攻略法とは?
時刻は10時前。
冷たい風に耐えながら仕掛けを流していると、ついに待ちに待った放流ヤマメを乗せた漁協のトラックが到着しました!周囲の釣り人たちにも一気に緊張感が走ります。
「さぁ、いよいよ放流だ!目の前の緩やかなポイントに入れてくれるかな?」と期待して見ていたのですが……なんと、思っていた場所とは全然違うところに放流が始まりました!
漁協のスタッフさんがトラックの生簀から大きな網でヤマメを掬い上げ、そのままバサッと橋の上から豪快に落とすスタイルだったのです。
しかも、落とされた場所はかなり流れの押しが強いポイント。
あっという間に放流されたヤマメたちは下流へと流されていってしまいました。
私はてっきり、流れの緩やかなトロ場や、魚が留まりやすい淵(溜まり)に優しく放流してくれるものだと思い込んでいたので、「えぇ!そこに入れるの!?」と心の中でかなり驚きました。
しかし、よくよく考えてみると、釣りやすい場所に固めて放流してしまうと、その日のうちに釣り人に根こそぎ釣りきられてしまいます。
あえて流れのある場所に散らすことで、魚が川の広範囲に定着し、長い目で見れば川全体が豊かになり、シーズンを通して長く釣りを楽しめるようになるのかもしれません。
漁協の方々のそんな意図を感じました。
とは言え、せっかく解禁日に来ているのですから、しっかりと釣って帰りたいのが釣り人の性(さが)です。
放流された魚が流れていったであろう下流付近に移動し、改めて竿を出します。
使用するエサは、解禁当初の鉄板中の鉄板である「イクラ」です。
水温が低く、虫などのエサが少ないこの時期は、視覚的にもアピール力が高く栄養価も高いイクラだけで十分勝負になります。
放流直後は魚も環境の変化に驚いているのか、しばらくは沈黙が続きました。
しかし、放流から10分ほど経った頃、目印に反応がありました!軽くアワセを入れると、小気味良い引きが竿から手元に伝わります。
慎重にタモ網に収めたのは、パーマークが美しい今年初のヤマメでした。

ここで、「放流ヤマメを効率よく釣るためのコツ」を少しご紹介します。
解禁当初に放流されたヤマメは、水温が低いことや放流直後でまだ川の環境に馴染んでいないこともあり、流れの速い「流心(川の中心の最も流れが強い部分)」には居つきません。
彼らは流心から少し外れた、流れが緩やかでエサを待ち伏せしやすい「ヨレ」や「反転流」に溜まる傾向があります。
また、エサのイクラに関しても、水に入って白くふやけてしまった状態のものでも、管理釣り場のトラウトのように意外とよく反応してくれます。
こうした「放流魚ならではの特性」を加味しながら、流心ではなく少し横の緩い流れをテンポよく探っていくと、効率よく数を伸ばすことができます。
正直なところ、放流直後のヤマメの狙い方は、警戒心の強い天然ヤマメのセオリーとは全くの別物と考えて良いでしょう。
思わぬゲームセット…解禁日だからこそ考えたい釣りマナー
放流魚のパターンを掴み、コンスタントにアタリを拾って7匹ほど釣り上げた頃でした。
私や友人が次々と竿を曲げているのを見ていたのか、少し離れた場所にいた他の釣り人たちが、どんどん周りに集まってきてしまったのです。
そして、ただでさえ広くはないポイントに対して、「我も我も」とばかりに道路上や橋の上といった高い位置から、無理矢理に竿を出し始めました。
渓流釣りにおいて、高い位置から水面を覗き込んだり竿を出したりするのはご法度です。
水面に人の影が落ちてしまい、魚に強烈なプレッシャーを与えてしまいます。
加えて、狭い範囲に複数の仕掛けが入り乱れ、水の中は不自然なエサだらけの異常事態に。
竿も仕掛けもいつ接触してもおかしくないような異常な状態です。
「あ、これは終わったな…」
私の嫌な予感は的中し、それを境にあっという間に魚からの反応がピタッと止まってしまいました。
偏光グラス越しに水中のヤマメの姿は見えているので、ついつい「そこにいるなら釣れるはず」と粘りたくなります。
しかし、本来とても繊細な性質を持つ渓流魚は、一度強烈に警戒してスレてしまうと、目の前にエサを流しても全く口を使わなくなります。
あっという間にポイントが荒れてしまい、事実上のゲームセット。
これ以上粘っても魚にストレスを与えるだけだと判断し、潔くあきらめて納竿することにしました。
幸いにも、短時間で綺麗なヤマメを7匹釣り上げることができたので、初釣りとしては十分満足のいく釣果です。


毎年感じることですが、「解禁日」という特別なお祭りムードの中では、どうしても周囲が見えなくなり、マナーがぐちゃぐちゃになってしまうケースが散見されます。
「先客がいれば一声かける」
「他の人のポイントを潰すような場所に割り込まない」
「周囲の迷惑にならないように配慮する」
——これらは、普段の渓流釣りを楽しんでいる方なら普段は当たり前にできているハズのことです。
決して難しい話ではないはずなのですが、少し残念な瞬間でもありました。
今後も美しい釣り場を守っていくためにも、釣り人同士の気遣いは忘れないようにしたいものです。
2026年シーズンも千代川の美しい渓流魚たちに出会いたい!
帰り支度をしながら、周囲で釣りを終えた他の釣り人にも状況を聞いてみましたが、どうやら全体的に「今日は爆釣だ!」というほど景気の良いポイントは少なかったようです。
帰りの道すがら、他の放流予定ポイントもいくつか車で見て回りましたが、お昼前にはすでに釣り人の姿はほとんどなく、皆足早に帰路に着いたようでした。
今年の解禁日は、少しタフなコンディションだったのかもしれませんね。
それでも、無事に今年も千代川の解禁日を迎えることができ、美しい渓流の空気を胸いっぱいに吸い込み、初ヤマメの顔を見ることができたのは大きな喜びです。
渓流釣りは解禁日がすべてではありません。
これから少しずつ季節が進み、水温が上がって本格的な春を迎えれば、川虫の羽化も活発になり、越冬していた天然の渓流魚たちも瀬に出てきて活発にエサを追うようになります。
新緑に包まれた千代川は、解禁日とはまた違った素晴らしい表情を見せてくれるはずです。
たくさんの美しい渓流魚たちに出会えることを楽しみに、今シーズンも引き続き千代川での釣行を思い切り楽しんでいきたいと思います!
これから千代川へ釣行を考えている皆様も、安全第一で、素晴らしい渓流釣りの時間を満喫してくださいね。



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